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勝つためのメンタルトレーニング ほか


茂木健一郎 スポーツメンタルトレーニングの方法 『ネガティブな独り言を書き換える』 動画


3分でできるメンタルトレーニング

視点・論点 「勝つためのメンタルトレーニング」

 

日本体育大学教授 楠本恭久
 
今日は、ラグビーの五郎丸選手で知られるようになりました「ルーティン」をとりあげながら、我が国の「メンタルトレーニング」についてお話ししたいと思います。
ルーティンとは、「決まり切った仕事、慣例」などの意味の他に、「決まり切った、日常の型にはまった」という意味にも使われます。もっと分かり易くいいますと、各個人の持っている「行動のクセ」や「決まった流れ」のことを云います。

スポーツの実際の場面で選手の行動を観察していますと、何かの行動を始める前に、選手はいつも同じ所作を行うことに気づきます。あたかも儀式であるかのような行動、それがまさしくルーティンなのです。

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五郎丸選手が、キックに入る前に必ず行う所作、あのルーティンによって、五郎丸選手の身体、こころ、技術は最適な準備状態へと導かれます。

ルーティンを創るに当たって重要なのは、先ず初めに、〈過去の経験を生かすこと〉です。過去の経験の中で、満足のいく結果が出せたとき、自分がどの様な準備をしたのかを考えます。満足な結果と不満足な結果を比較することにより、何が良かったか、何が悪かったかを明らかにできます。自分自身でできることで、良い結果を出すのに役立つと考えられることをルーティンに取り入れるのです。

五郎丸選手以外にもイチロー選手や元横綱朝青龍関のルーティンは有名です。競技レベルの違いこそあれ、スポーツ選手それぞれは、自分のルーティンを持っています。選手一人ひとりがこのルーティンを行うことにより、集中力の維持や心の安定を得て、実力を充分に発揮できるとすれば、価値あるものとなるでしょう。
このルーティンは、近年、普及してきましたメンタルトレーニングの一技法として考えることができます。メンタルトレーニングの方法には、たくさんの技法があります。目標設定技法から始まって、リラクセーション技法、注意集中技法、イメージ技法、情動コントロール技法、暗示技法などです。

このメンタルトレーニングには長い歴史があります。
1959年、IOC総会で、5年後の第18回大会の会場地に東京が決まりました。この1964年開催の東京オリンピックに向けて、スポーツ科学研究委員会が発足し、スポーツ医学研究者、体育関係者、心理学者の中から約70名が選ばれ、4つの部会に分かれて研究活動が始まりました。4つの部会とは、トレーニング部会、管理部会、心理部会、キネシオロジーを含む技術部会です。
この中の「心理部会」が、精神訓練、のちのメンタルトレーニングのさきがけとして活動を開始することになります。この「心理部会」では、ローマオリンピックから東京オリンピックまでの5年間、多くの研究、実践が行われました。
そのほか、選手の「あがり」のメカニズム、練習や試合の場における態度、選手の性格特性などの研究が進められてきました。
問題は、選手の精神面の強化、すなわち「根性」に繋がっている、との観点から「根性の意義」「根性を持つ選手」「根性養成のための方法」などについて討議されました。
近年では、ほとんど目にすることもなくなった「根性」という言葉でありますが、その時、討議された、「根性養成のための方法」についてまとめたものがこの表です。

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私は、根性とは「個人が限界を感じ、あきらめようとした時、そこからもう一歩前進する力」であると考えています。そして、私はこの「根性養成のための五箇条」こそがメンタルトレーニングの本質ではなかろうかと考えています。
それは、この五箇条が半世紀経った今でも十分通用するものであり、現在のメンタルトレーニングの根幹をなすものだと考えるからです。

東京オリンピックの20年後、1984年に第23回ロサンゼルスオリンピックが開催されました。このオリンピックにおける我が国の成績は、期待を裏切る結果となりました。
そして、4年後に開催されるソウルオリンピックは隣国ということもあり、誰もが選手強化の必要性を実感したのです。ロサンゼルスオリンピック終了後、1985年に「メンタルマネージメント・プロジェクトチーム」が設けられました。そして、1987年に各競技団体に「スポーツカウンセラー」をおき、強化指定選手に「メンタルトレーニング」を実施する制度ができました。
このとき、競技種目ごとのメンタルトレーニング・プログラムが作成され、私は、体操競技のプログラム作成に関わり、多くの選手にこれを実践してもらったのを覚えております。

ソウルオリンピックから12年が経過した2000年4月、日本スポーツ心理学会認定の「スポーツメンタルトレーニング指導士」資格認定制度が始まりました。
現在、約140名の指導士が全国で活動しています。
2001年10月からは、一般にはJISSとよばれている国立スポーツ科学センターが立ち上がりました。
JISSでは、ナショナル強化指定選手を中心とする我が国のトップレベルの競技者たちを対象とし、各競技団体や選手個人からの要望に応じて、科学的知見に基づくサポートや、各種測定を実施しています。いまやトップアスリートにとってメンタルトレーニングは不可欠なものになっています。

2020年開催の東京オリンピックパラリンピックが近づくにつれて、より一層、選手強化の波は大きくなってくるでしょう。そして、メンタルトレーニングへの関心も大きくなってくることと思います。

私は、長年メンタルトレーニングに関わってきました。その経験から、老婆心ながら、近年のメンタルトレーニングが、技法に頼りすぎているのではないかという一抹の不安を持っています。
色々な技法を試してみて、その選手に最も適した技法を見つけることについては異論ありません。
しかし、最近のメンタルトレーニングの現場において、集団での実施場面が増えていることは事実であります。集団の場合、ややもすると、安易な技法紹介だけになり易くなります。
一人ひとりの選手の何が問題であり、選手が今何を求めているのかをきちんと把握することが最も重要なことだと思います。

1964年の東京オリンピックにおける『根性養成のための五箇条』を改めて視野に入れて、個々に対応することが意味を持ってくるのです。
つまり、きちんとしたカウンセリングを行えば選手や指導者の物の見方・考え方を正すことができます。このことについてメンタルトレーニング指導士のメンバーが再認識し、実践していかなければ、とうてい2020年の東京オリンピックパラリンピックでの成果は期待できないのではないかと思います。
選手一人ひとりに寄り添ったメンタルトレーニングを行うためには、多くのメンタルトレーニング指導士が必要となります。

そういう意味でも、総合的にこれからますます国立スポーツ科学センターの果たす役割が重要になってくると思います。

 

くらし☆解説[総合]火~金 午前10時05分~10時15分

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ロボットで守る!?橋やトンネル

土屋 敏之 解説委員

(VTR1)
2012年笹子トンネル事故/12月9日トンネル点検ロボ

岩渕)2012年12月、中央自動車道の笹子トンネルで、天井板の大規模な落下が起き、9人の命が失われました。
それから、3年、トンネルでの作業用に様々なロボットの開発が進められています。奇妙な形をしたドローン。そして、台車に沢山の機械とカメラを積み込んだもの。
こうしたロボットが、トンネルの安全を守るために今、注目されています。

 

 

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